第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和6年10月 無線工学(B)問6

2024-11-30

問題

次の記述は、半導体素子の一般的な働き、用途などについて述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。

  1. ツェナーダイオードは、逆方向電圧を加えたときの定電圧特性を利用する素子として用いられる。
  2. バラクタダイオードは、逆方向バイアスを与え、このバイアス電圧を変化させると、等価的に可変静電容量として動作する特性を利用する素子として用いられる。
  3. フォトダイオードは、光を電気信号に変換する素子として用いられる。
  4. 発光ダイオード(LED)は、順方向電流が流れたときに発光する性質を利用する素子として用いられる。
  5. トンネルダイオードは、その逆方向の電圧-電流特性にトンネル効果による負性抵抗特性を持っており、応答特性が速いことを利用して、マイクロ波からミリ波帯の発振に用いることができる。

解答

5

解説

ツェナーダイオード

ツェナーダイオードは、定電圧ダイオードともよばれ、一定の電圧を取り出すために使われるダイオードです。

通常のダイオードと、ツェナーダイオードの比較を下記に示します。

通常のダイオードでは、電圧を上げていくと、約0.7[V]以上になったときに、ダイオードに電流が導通するようになります。

これを順方向特性といいます。

ツェナーダイオードも同様で、電圧を上げていくと、約0.7[V]以上になったときに、ダイオードに電流が導通するようになります。

一方、ツェナーダイオードには、別の特徴もあります。それが、逆方向特性です。

順方向と同じ考えで、マイナスの電圧をかけていくと、ある一定の電圧以上でダイオードに電流が導通するようになります。

これをツェナー降伏といいます。

逆を言えば、ツェナーダイオードにマイナスの電流が流れると、一定の電圧を得られる、ともいうことができます。

このように、ツェナーダイオードは、ツェナー降伏を利用して、定電圧を得る目的で使われています。

バリキャップ

可変容量ダイオードやバラクタとも呼ばれるダイオードです。

「可変容量」という名の通り、逆方向電圧をかけることで、静電容量が変化するという特徴を持っています。

原理としては、逆方向電圧を加えると、その大きさによって、アノードとカソードの間に空乏層と呼ばれる層の大きさが変化します。

この空乏層がコンデンサの電極間と同じ働きをするため、空乏層の大きさによって、静電容量を変化させることができます。

フォトダイオードとLED

光→電気に変換するものがフォトダイオード、電気→光に変換するのは発光ダイオード(LED)です。

トンネルダイオード

トンネルダイオードは江崎ダイオードとも呼ばれるダイオードです。

通常のダイオードと比べて、不純物濃度が非常に高いという特徴があります。

この結果、アノードとカソードの間にある空乏層と呼ばれる層が非常に薄くなり、本来通れないはずの正孔や電子が通り抜けてしまいます。

これをトンネル効果といいます。

しかし、一定の電圧以上になると、トンネル効果が弱くなり、通り抜けにくくなるため、電流が減少します。

これを負荷抵抗特性といいいます。

トンネル効果と負荷抵抗特性をグラフにすると、下記のようなイメージになります。

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