問題
次の記述は、無線中継所等において広く使用されているシール鉛蓄電池について述べたものである。このうち正しいものを下の番号から選べ。
- 通常、電解液が外部に流出するので設置には注意が必要である。
- 定期的な補水(蒸留水)は、必要である。
- シール鉛蓄電池を構成する単セルの電圧は、約24[V]である。
- 正極は二酸化鉛、負極は金属鉛、電解液は希硫酸が用いられる。
解答
4
解説
鉛蓄電池
鉛蓄電池は、電極に鉛を用いた電池です。自動車用のバッテリーとしてよく用いられるほか、通信機器用のバッテリーとしてもよく用いられています。
鉛蓄電池は、陽極に二酸化鉛、陰極に鉛、電解液に希硫酸を用います。
すると、鉛から電子が失われ、導線を通じて電子が移動します。この電子の流れによって電流が発生するのが鉛蓄電池の仕組みです。
その後、陽極では、二酸化鉛、希硫酸中の硫酸イオン(SO42-)、運ばれてきた電子(e-)とが反応し、硫酸鉛(りゅうさんなまり、PbSO4)と水(H2O)が発生します。
一方、陰極では鉛と硫酸イオン(SO42-)が反応し、硫酸鉛(PbSO4)が発生します。
- 1.通常、電解液が外部に流出するので設置には注意が必要である。
→誤り。鉛蓄電池にはベント型鉛蓄電池とシール型鉛蓄電池があります。ベント型は化学反応にて発生するガスを逃がすための排気孔(ベント)があるため、ベント型は電池を倒してしまうと、排気孔(ベント)から希硫酸が漏れる可能性があります。一方、シール型は密閉しているため、電解液の流出を防げます。
- 2.定期的な補水(蒸留水)は、必要である。
→誤り。ベント型は電解液が蒸発するため、定期的に補水する必要があります。一方、シール型は、ガスの発生を減らし、密封状態にした鉛蓄電池です。密閉しているために電解液が蒸発しないので、補水が不要です。
- 3.シール鉛蓄電池を構成する単セルの電圧は、約24[V]である。
→誤り。単セルの鉛蓄電池の公称電圧は2.0[V]です。
- 4.正極は二酸化鉛、負極は金属鉛、電解液は希硫酸が用いられる。
→正しい。上記の図のように、正極は二酸化鉛、負極は金属鉛、電解液は希硫酸が用いられます。