第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和4年10月 無線工学(A)問6

2022-12-05

問題

次の記述は、図に示す導波管サーキュレータについて述べたものである。(  )内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。なお、同じ記号の(  )内には、同じ字句が入るものとする。

  • (1):Y接合した方形導波管の接合部の中心に円柱状の( A )を置き、この円柱の軸方向に適当な大きさの( B )を加えた構造である。
  • (2):TE10モードの電磁波をポート①へ入力するとポート②へ、ポート②へ入力するとポート③へ、ポート③へ入力するとポート①へそれぞれ出力し、それぞれ他のポートへの出力は極めて小さいので、各ポート間に( C )がない。
ABC
1セラミックス静電界可逆性
2セラミックス静磁界トレーサビリティ
3フェライト静電界トレーサビリティ
4フェライト静磁界可逆性

解答

4

解説

サーキュレータには磁化されたフェライトが含まれ、また1方向にしか通さないので可逆性はありません。

導波管サーキュレータ

導波管サーキュレータとは、特定の端子から入力信号が、別の特定の端子からのみ出力される性質を持つ導波管で、導波管の中央部分に磁化されたフェライトがあることが特徴的です。

下記の図を例に説明します。端子①から入った信号は端子②からのみ出力され、端子③には信号は出力されません。同様に、端子②から入った信号は端子③のみから出力され、端子③から入った信号は端子①からのみ出力されます。

なぜこのような役割をする素子が必要になるのでしょうか?

このような素子は、送信機と受信機でアンテナを共有するための、アンテナ共用器に利用されています。

例えば、下図を例に説明します。

送信機からの信号は、アンテナの方向だけに出力することが理想的です。というのも、受信機の方向にも信号が出てしまうと、干渉を起こしてしまいます。

反対に、アンテナから受信した信号は、受信機方向のみに出力することが理想的で、送信信号に対する干渉を引き起こしてしまうからです。

この仕組みを成り立たせるのが、フェライトです。

フェライトに電波が通過すると、ファラデー回転と呼ばれる現象が起こり、反射した波が1方向にしか通過しなくなるという性質を持ちます。

参考文献

第5回 無線技術の発展を支えたマテリアル 高周波用フェライト|フェライト・ワールド|TDK Techno Magazine

サーキュレータはどこに使用されますか | よくある質問 | TDK プロダクトセンター

サーキュレータとは何ですか | よくある質問 | TDK プロダクトセンター

TDK株式会社

-第一級陸上特殊無線技士
-,

© 2024 はちさんの通信系資格ブログ