問題
次の記述は、無線LANや携帯電話などで用いられるMIMO(Multiple Input Multiple Output)の特徴などについて述べたものである。 ( )内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。
- (1):MIMOでは、送信側と受信側の双方に複数のアンテナを設置し、送受信アンテナ間に( A )の伝送路を形成して、空間多重伝送による伝送容量の増大の実現を図ることができる。
- (2):例えば、ある基地局からある端末への通信(下りリンク)において、基地局の複数の送信アンテナから異なるデータ信号を送信しつつ、端末の複数の受信アンテナで信号を受信し、( B )により送信アンテナ毎のデータ信号に分離することができ、新たに周波数帯域を増やさずに( C )できる。
A | B | C | |
---|---|---|---|
1 | 単一 | 信号処理 | 高速伝送 |
2 | 単一 | グレイ符号化 | 伝送遅延を多く |
3 | 複数 | グレイ符号化 | 伝送遅延を多く |
4 | 複数 | グレイ符号化 | 高速伝送 |
5 | 複数 | 信号処理 | 高速伝送 |
解答
5
解説
MIMO(multiple-input multiple-output、マイモ)は、送信機、受信機に複数アンテナを設置することで、マルチパスフェージング環境下での高速通信を実現する手法です。
無線LANや4G、5Gなどの無線通信に採用されています。
MIMOのイメージ
送信側、受信側双方に複数アンテナを設置した場合のデータ伝送イメージを下記に示します。
それぞれのアンテナからデータ(シンボルs1、s2、s3、s4)を送ることを考えてみましょう。
例として、一番上のアンテナに着目してみます。
理想的には、s1を送るアンテナから、s1を取り出すアンテナへ対してのみ、データを送信できれば理想的です。
しかし、そのまま送っただけだと、s1を取り出すアンテナではs2、s3、s4の信号も受信してしまうため、混信(干渉)してしまい、データを区別できません。
そのため、送信側および受信側で信号処理(データの加工)を施すことで、データを分離しているのです。
これを空間多重伝送といいます。
MIMOの空間多重伝送によって、データを複数個、同時に送ることができるため、高速通信を実現できるのです。