問題
次の記述は、VHF帯の電波の伝搬について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。
- 標準大気中を伝搬する電波の見通し距離は、幾何学的な見通し距離よりも長い。
- スポラジックE(Es)層と呼ばれる電離層によって、見通し外の遠方まで伝わることがある。
- 地形や建物の影響は、周波数が低いほど大きい。
- 見通し距離内では、受信点の高さを変化させると、直接波と大地反射波との干渉により、受信電界強度が変動する。
解答
3
解説
VHF帯の特徴
VHF(Very High Frequency)とは、30-300MHzの周波数の電波を言います。
- 標準大気中を伝搬する電波の見通し距離は、幾何学的な見通し距離よりも長い。
→正しい。建物や大地などで電波が反射して伝搬するため、実際に電波が届く距離は長くなります。 - スポラジックE(Es)層と呼ばれる電離層によって、見通し外の遠方まで伝わることがある。
→正しい。下記の解説を参照。 - 地形や建物の影響は、周波数が低いほど大きい。
→誤り。周波数が高いほど反射や回折をせず直線的に伝搬するため、地形や建物が障害物となり伝搬しにくくなります。 - 見通し距離内では、受信点の高さを変化させると、直接波と大地反射波との干渉により、受信電界強度が変動する。
→正しい。フェージングの影響により、受信位置を変えると、電界強度や受信電力も変化します。
スポラディックE層
スポラディックE層(Sporadic E layer、Es)とは、春から夏の昼間~夕方にかけて、高度約100km付近に局所的、突発的に発生する電離層のことです。
電離層(電離圏)は、昼間は電子密度の違いによって、D層、E層、F層を形成します。
VHF帯(30-300MHz)以上の電波は電離層を突き抜けて伝搬します。
しかし、スポラディックE層が形成されると、スポラディックE層非常には電子密度が高いために、VHF帯の電波を反射します。
これによって、遠方のラジオが聞こえたり、混信や干渉を引き起こしたりしてしまいます。