第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和2年2月 無線工学(A)問18

問題

次の記述は、衛星通信に用いられる反射鏡アンテナについて述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。

  1. 衛星からの微弱な電波を受信するため、大きな開口面を持つ反射鏡アンテナが利用される。
  2. 主反射鏡に回転放物面を、副反射鏡に回転双曲面を用いるものにカセグレンアンテナがある。
  3. 回転放物面を反射鏡に用いたパラボラアンテナは、開口面の面積が大きいほど前方に尖鋭な指向性が得られる。
  4. 回転放物面を反射鏡に用いたパラボラアンテナは、高利得のファンビームのアンテナであり、回転放物面の焦点に置かれた一次放射器から放射された電波は、反射鏡により球面波となって放射される。

解答

4

解説

パラボラアンテナを用いると平面波となって伝搬するため、4が誤り。

アンテナ

無線通信を行うために、電気を電波に変換し、電波を送信したり受信したりする装置をアンテナと言います。

アンテナは空中線ともいい、代表的には下記の様な種類のアンテナがあります。

開口面アンテナ

開口面アンテナには、その名の通り、開口面より電波を放出するのが特徴で、反射鏡アンテナ(パラボラアンテナ、カセグレンアンテナ)とホーンアンテナなどがあります。

パラボラアンテナでは、一次放射器から放出した電波を、回転放物面の形をした反射鏡にて集積し、放出されます。

カセグレンアンテナでは、回転双曲面の形をした副反射鏡を設置することで、パラボラアンテナと比較して一次放射器に当たって発生するロス(ブロッキング)をなくすことができます。

パラボラアンテナの利得と指向性

パラボラアンテナは、下図のように非常に鋭い指向性を持ちます。

このように鋭いビームを持つアンテナを、鉛筆のような鋭さから、ペンシルビームアンテナと言います。

※一方、携帯電話基地局に用いられるようなセクタアンテナは、水平方向に広く、垂直方向に鋭いビームを持ちます。
このように、1つの次元で鋭く、もう1つの次元で広い指向性を持つアンテナをファンビームアンテナと言います。

パラボラアンテナは、開口面から放射された電波が平面波(位相が揃った波)として伝搬されます。

さらに、パラボラアンテナに限らず、利得Gはアンテナの実効面積Aeと波長λを用いて、下記で表されます。

$$G=\frac{4\pi}{\lambda^2}A_e$$

この式より、実効面積Aeが大きくなるほど、利得Gが大きくなることが分かります。

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