問題
次の記述は、対地静止衛星を利用するVSATシステムについて述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。
- VSATシステムは、一般に、中継装置(トランスポンダ)を持つ宇宙局、回線制御及び監視機能を持つ制御地球局(ハブ局)並びに複数のVSAT地球局(ユーザー局)で構成される。
- VSATシステムは、14[GHz]帯と12[GHz]帯のSHF帯の周波数が用いられている。
- VSAT地球局(ユーザー局)間の通信は、すべてVSAT制御地球局(ハブ局)を経由(2ホップ)して行われ、VSAT地球局(ユーザー局)間で直接通信(1ホップ)することはできない。
- VSAT地球局(ユーザー局)に一般的に用いられるアンテナは、オフセットパラボラアンテナである。
- VSAT地球局(ユーザー局)は、小型軽量の装置であるが、車両に搭載して走行中の通信に用いることはできない。
解答
3
解説
VSATシステム(Very Small Aperture Terminal)システムとは、衛星を用いた通信方式です。
- 1.VSATシステムは、一般に、中継装置(トランスポンダ)を持つ宇宙局、回線制御及び監視機能を持つ制御地球局(ハブ局)並びに複数のVSAT地球局(ユーザー局)で構成される。
→正しい。下記にシステム構成の概要を示します。

- 2.VSATシステムは、14[GHz]帯と12[GHz]帯のSHF帯の周波数が用いられている。
→正しい。衛星通信はSHF帯(3G~30GHz)の周波数が用いられます。特に、VSATシステムは12~14GHzが割り当てられています。

- 3.VSAT地球局(ユーザー局)間の通信は、すべてVSAT制御地球局(ハブ局)を経由(2ホップ)して行われ、VSAT地球局(ユーザー局)間で直接通信(1ホップ)することはできない。
→誤り。メッシュ型DAMA(Demand Assigned Multiple Access)と呼ばれる構成をとる場合には、VSAT制御地球局によるチャネルの割り当ての制御は行われるものの、実際の通信はVSAT地球局(ユーザー局)同士で直接行われる構成となります。
※参考:http://satcom.jp/55/capitalproductj.pdf
- 4.VSAT地球局(ユーザー局)に一般的に用いられるアンテナは、オフセットパラボラアンテナである。
→正しい。上記の図のようにパラボラアンテナが使われます。
- 5.VSAT地球局(ユーザー局)は、小型軽量の装置であるが、車両に搭載して走行中の通信に用いることはできない。
→正しい。VSAT地球局に用いる機材について、小型で可搬できるタイプの機器やアンテナもあります。しかし、移動中に使う物ではなく、災害・防災や山岳地帯・離島などのへき地で通信をする目的で使われます。