問題
次の記述は、一般的なデジタル伝送における伝送誤りについて述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。ただし、信号空間ダイアグラム上の信号点が変動し、受信側において隣接する信号点と誤って判断する現象をシンボル誤りといい、シンボル誤りが発生する確率をシンボル誤り率という。また、信号空間ダイアグラムにおける信号点の間の距離のうち、最も短いものを信号点間距離とする。
- シンボル誤り率は、信号点間距離に依存する。
- 16PSKと16QAMを比較すると、一般に両方式の平均電力が同じ場合、16相PSKの方が信号点間距離が長い。
- 16PSKと16QAMを比較すると、一般に両方式の平均電力が同じ場合、16相PSKの方がシンボル誤り率が大きくなる。
- 伝送路や受信機内部で発生する雑音及びフェージングは、シンボル誤り率を増加させる要因となる。
解答
2
解説
QAM(Quadrature Amplitude Modulation;直交振幅変調)
QAM(カム)とは、ディジタル変調の方式の1つで、振幅と位相の両方を組み合わせて0/1を割り当てる変調方式です。
一方、PSK(Phase-Shift Keying;位相偏移変調)は、信号の角度(位相)によって0/1の割り当てる方式です。
16PSKと16QAMを比較すると、シンボル間の距離は16QAMの方が長いため、シンボル誤りに強いです。
グレイ符号(Grey Code)
グレイ符号とは、2進数の表現方法の1つで、隣り合ったシンボル同士が1ビットしか違わないように並べた方式です。
通常の2進数の場合、例えば3(011)→4(100)に変化する場合は、3ビットすべてが変化することになります。
このように複数の桁が一気に変化すると、スイッチのオフ・オンなど電気的に0/1を発生させる場合に、オフ・オンの遅延があると、誤りを発生させてしまう可能性があります。
このリスクを軽減させるために、グレイ符号を用います。グレイ符号だと、隣り合ったシンボルは1ビットしか違わないため、通常の2進数の場合に比べてこのような遅延リスクを減らすことができます。