第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和6年2月 無線工学(B)問15

2024-05-09

問題

次の記述は、パルスレーダーの性能について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。

  1. 距離分解能は、同一方位にある二つの物標を識別できる能力を表し、パルス幅が狭いほど良くなる。
  2. 方位分解能は、アンテナの水平面内のビーム幅でほぼ決まり、ビーム幅が狭いほど良くなる。
  3. 最大探知距離は、送信電力を大きくし、受信機の感度を良くすると大きくなる。
  4. 最大探知距離は、アンテナ利得を大きくし、アンテナの高さを高くすると大きくなる。
  5. 最小探知距離は、主としてパルス幅に反比例し、パルス幅をτ[μs]とすれば、約150/τ[m]である。

解答

5

解説

レーダー(Radar)

レーダーはある対象となる物体までの距離や方向を測る装置で、電波をその物体に向けて発射し、その反射波によって距離や方向を測定します。

最小探知距離

最小探知距離とは、レーダーが物体を探せる最小の距離の事で、これより短い距離の物体は見つけることができません。

最小探知距離は主にパルス幅、垂直方向の指向性によって決まります。

最小探知距離は、距離=速さ×時間の関係式を用いて計算できます。

電波の速さは光速と同じ3.0×108 [m/s]、時間をτ[s]、距離をx[m]とすると、往復で2倍かかるため、

$$\begin{eqnarray} 2x&=&3.0\times10^8\times \tau \\ x&=&1.5\tau\times10^2 \\ x&=&150\tau [\rm s] \end{eqnarray}$$

と求められます。

距離分解能

距離分解能とは、2つの物体が同じ方向にあったときに、その2つの物体が別の物体であると認識できる性能のことです。

距離分解能はパルス幅が狭いほど、区別しやすくなります。

方位分解能

2つの物体が同じ距離にあったとき、その2つの物体が別の物体であると認識できる性能のことです。

方位分解能を決めるのはアンテナの水平方向のビーム幅で、ビームが鋭い(ビーム幅が狭い)ほど、物体を区別しやすくなります。

最大探知距離

最大探知距離は、レーダーが物体を検知できる最大の距離をいいます。

最大探知距離を伸ばすには、①信号の送信・受信電力を向上させる、②受信感度を向上させる、という2つの方向からアプローチをすることになります。

  • ①:電力を改善するには、より利得の大きい送信アンテナや受信アンテナを用いたり、より大きな送信電力で送信したり、アンテナ高を高くするなどして、遠くまで電波を飛ばせるようにします。
  • ②:受信感度を向上させるには、変調方式を変更したり、雑音を低減したりするなどして、雑音や干渉に対する性能を改善します。

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