第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和6年2月 無線工学(B)問10

2024-05-04

問題

受信機の雑音指数が6[dB]、等価雑音帯域幅が10[MHz]、及び周囲温度が17[℃]のとき、この受信機の出力端の雑音電力を入力端での雑音に換算した雑音電力(入力端換算雑音電力)の値として、最も近いものを下の番号から選べ。最も近いものを下の番号から選べ。ただし、ボルツマン定数は1.38×10-23[J/K]、log102=0.3とする。

  1. 5.3×10-14[W]
  2. 8.0×10-14[W]
  3. 1.6×10-13[W]
  4. 2.4×10-13[W]
  5. 6.4×10-13[W]

解答

3

解説

熱雑音、雑音電力

どのような回路や伝送路でも、ノイズ(雑音)が発生します。これはブラウン運動といって、どんな抵抗でも、絶対温度が0でない限り、その内部で電子が不規則に振動しまうことに起因しています。

これを総称して熱雑音、または単に雑音といっています。

雑音電力Pn[W]は下記の関係式を持つことが知られています。

$$\begin{eqnarray} P_n=kTB \end{eqnarray}$$

ここで、kはボルツマン定数 1.38×10-23 [J/K]、Tは絶対温度 T=[℃]+273.15 [K]、Bは帯域幅[Hz]を表します。

※雑音電力は、本によっては、Pn=4kTBと表記される場合もあります。

また、増幅器の入力信号と出力信号を比較したとき、どのくらいSNが劣化するかを示した値を雑音指数(Noise Factor、NF;エヌエフ)と言います。

NFは下記式で求められます。

$$\begin{eqnarray} NF&=&10\log_{10}\frac{S_i/N_i}{S_o/N_o} \\ &=&10\log_{10}\frac{N_o}{GkTB} \end{eqnarray}$$

ここでGは増幅器での増幅率を表します。

この問題では、雑音電力Noを求める必要があるため、数式を変形します。

まず、NF=6[dB]、6=2×10log102=10log1022を代入します。

$$\begin{eqnarray} NF&=&10\log_{10}\frac{N_o}{GkTB}\\ 6&=&10\log_{10}\frac{N_o}{GkTB} \\ 10\log_{10}2^2&=&10\log_{10}\frac{N_o}{GkTB} \end{eqnarray}$$

したがって、受信器の増幅率Gを1として、

$$\begin{eqnarray} 2^2&=&\frac{N_o}{kTB} \\ N_o&=&4kTB \\ &=&4\times1.38×10^{-23}\times300\times10\times10^6 \\ &=&16.56\times10^{-14}\\ &\simeq&1.66\times10^{-13}[\rm W] \end{eqnarray}$$

と求めることができます。

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