第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和5年10月 無線工学(B)問16

2023-12-20

問題

次の記述は、パルスレーダーの受信機に用いられる回路について述べたものである。該当する回路の名称を下の番号から選べ。

  • この回路は、パルスレーダーの受信機において、雨や雪などからの反射波により、物標からの反射信号の判別が困難になるのを防ぐため、検波後の出力信号を微分して物標を際立たせるために用いるものである。
  1. IAGC回路
  2. FTC回路
  3. AFC回路
  4. STC回路

解答

2

解説

海面反射抑制(STC)とは?

STCとは、レーダーに搭載される、海面反射を抑制するための回路です。

気象状況などによって海面が変動すると、自身の近くにある物体がレーダー指示器(PPI;Plan Position Indicator、下記の様な、自身を中心とした平面で信号を表示させる機器)から見えなくなってしまう現象があります。

これは海面変動による反射が強すぎるために発生しており、これを抑制するための回路を海面反射抑制(STC;Sensitivity Time Control)回路と言います。

STCでは中心付近の感度をわざと下げることで、反射波の影響を抑制します。

海上が非常に荒れているようなとき、CRTの中心付近が明るすぎて、自船の近くにある物標が見えなくなってしまう。これは近くの波からの反射波のために起こる現象で、海面反射といわれている。これを防ぐためCRTの中心付近の感度を下げて海面反射を抑制するための海面反射抑制回路(STC:Sensitivity Time Control)回路がある。

日本財団図書館(電子図書館) レーダー講習用指導書(機器保守整備編)

雨雪反射抑制(FTC)とは?

雨雪反射抑制(FTC;Fast Time Constant)回路とは、レーダーに搭載される、雨や雪からの反射を抑制するための回路です。

というのも、雨や雪などの気象の影響により、この反射波が発生します。

この雨や雪などによる反射波が大きくなってしまうと、物体からの反射波との区別ができなくなってしまいます。

これを抑制するための回路を雨雪反射抑制(FTC;Fast Time Constant)回路と言います。

FTCは微分回路にて構成され、受信信号をFTC回路に通すことで、受信信号を微分します。

信号を微分すると何が起こるかというと、信号の変化が大きい部分で出力が大きく、変化が小さい部分では出力が小さくなります。

つまり、パルスが埋もれている部分では、パルスの成分があるため、微分回路の出力は鋭い立ち上がりを見せます。

これによって、雨雪の反射波の影響を抑制し、隠れた反射波を際立たせているのです。

-第一級陸上特殊無線技士
-,

© 2024 はちさんの通信系資格ブログ