第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和5年10月 無線工学(B)問7

2023-12-11

問題

次の記述は、図1及び図2に示す共振回路について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。ただし、ω0[rad/s]は共振角周波数とする。

  1. 図1の共振回路のQ(尖鋭度)は、Q=ω0LR1である。
  2. 図1の共振角周波数ω0は、ω0=1/√LC である。
  3. 図2の共振回路のQ(尖鋭度)は、Q=ω0CR2である。
  4. 図2の共振時の回路の合成インピーダンスは、R2である。

解答

1

解説

RLC直列共振回路

下記のRLC直列回路について、合成インピーダンスZを求めます。

$$\begin{eqnarray} \dot{Z}=R+j(\omega L-\frac{1}{\omega C}) \end{eqnarray}$$

従って、回路に流れる電流Iは、

$$\begin{eqnarray} \dot{I}=\frac{\dot{V}}{\dot{Z}}=\frac{\dot{V}}{R+j(\omega L-\frac{1}{\omega C})} \end{eqnarray}$$

となり、実効値で表すと、複素数の絶対値の公式から、

$$\begin{eqnarray} I&=&|\dot{I}|=\left| \frac{\dot{V}}{R+j(\omega L-\frac{1}{\omega C})} \right| \\ &=&\frac{V}{\left| R+j(\omega L-\frac{1}{\omega C})\right|} \\ &=&\frac{V}{\sqrt{R^2+(\omega L-\frac{1}{\omega C})^2}} \end{eqnarray}$$

と書くことができます。

ここで、電流Iが最大になるのは、分母が最も小さいとき、すなわちωL-1/ωC=0のときです。

この状態を共振といいます。

RLC直列回路において共振状態になるには、ωL-1/ωC=0を満たすときなので、この時の角周波数をω0、周波数をf0とすると、

$$\begin{eqnarray} \omega_0 L-\frac{1}{\omega_0 C}&=&0 \\ \omega_0 L&=&\frac{1}{\omega_0 C} \\ \omega_0^2LC&=&1 \\ \omega_0^2&=&\frac{1}{LC} \\ \omega_0 &=& \frac{1}{\sqrt{LC}} \\ 2\pi f_0 &=& \frac{1}{\sqrt{LC}} \\ f_0 &=& \frac{1}{2 \pi \sqrt{LC}} \\ \end{eqnarray}$$

と求めることができます。この周波数f0を共振周波数といいます。

また、共振の鋭さを表す値として、Q値があります。Q値は、最大値I0とI0/√2となるときの周波数幅の比で定義されています。

また、Q値は展開すると、下記式で求められることが知られています。

$$\begin{eqnarray} Q=\frac{f_0}{f_2-f_1}=\frac{\omega_0 L}{R}=\frac{1}{\omega_0 CR} \end{eqnarray}$$

RLC並列共振回路

RLC並列回路でも同様に計算します。

共振周波数f0

$$\begin{eqnarray} f_0 &=& \frac{1}{2 \pi \sqrt{LC}} \\ \end{eqnarray}$$

と求めることができ、またQ値は

$$\begin{eqnarray} Q=\frac{f_0}{f_2-f_1}=\omega_0 CR=\frac{R}{\omega_0 L} \end{eqnarray}$$

にて求めることができます。

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