問題
次の記述は、デジタル伝送におけるビット誤り等について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。ただし、図にQPSK(4PSK)の信号空間ダイアグラムを示す。
- 1,000,000ビットの信号を伝送して、1ビットの誤りがあった場合、ビット誤り率は、10-6である。
- QPSKにおいて、2ビットのデータを各シンボルに割り当てる方法がグレイ符号に基づく場合と自然2進符号に基づく場合とで比べたとき、グレイ符号に基づく場合の方がビット誤り率を小さくできる。
- QPSKにおいて、2ビットのデータを各シンボルに割り当てる方法が自然2進符号に基づく場合は、縦横に隣接するシンボル間で誤りが生じたとき、常に2ビットの誤りとなる。
- QPSKにおいて、2ビットのデータを各シンボルに割り当てる方法がグレイ符号に基づく場合は、縦横に隣接するシンボル間で誤りが生じたとき、常に1ビットの誤りですむ。
解答
3
解説
PSK(Phase-Shift Keying;位相偏移変調)
PSK(ピーエスケー)とは、ディジタル変調の方式の1つで、信号の位相によってディジタルデータ(0/1)の割り当てを行う方式です。
ディジタル変調方式の代表的なBPSK、QPSKと振幅、位相の関係を見てみましょう。
BPSKでは、右半分か左半分かで0/1の割り当てを決めます。
QPSKでは90°刻みに信号を割り当てます。これによって、2ビットのデータを表現できます。
グレイコード
グレイコード(Gray Code)とは、2進数で1ずつ増やしたときに、隣り合うビット列が1ビットしか違わない、という特徴を持つ符号です。
PSKの信号配置を行う際には、このグレイコードを用います。
具体的に、グレイコードの対応表を下記に示します。
10進数 | 2進数 | グレイコード |
---|---|---|
0 | 000 | 000 |
1 | 001 | 001 |
2 | 010 | 011 |
3 | 011 | 010 |
4 | 100 | 110 |
5 | 101 | 111 |
6 | 110 | 101 |
7 | 111 | 100 |
なぜグレイコードを用いるのでしょうか?
例えば、3と4をデータとして送ることを考えます。データをパルスとしておくることを考えたときに
011→100
と、各ケタにて瞬時に0↔1を切り替えらればよいのですが、実際には
011→111→101→100
と100に切り替えるまでに、このような段階を踏む必要があります。
そのため、もし切り替えに遅延があり、この切り替え途中でデータを読み出してしまうと、誤りが生じてしまいます。
一方、グレイコードを用いると、この反転作業が
010→110
と1回で済むため、このような読み取りの際の誤差が生じることがありません。