第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和5年2月 無線工学(A)問1

2023-02-10

問題

次の記述は、対地静止衛星による通信について述べたものである。 (  )内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。

  • (1):衛星に搭載する中継装置の回線を分割し、多数の地球局が共用するため、FDMA、TDMAなどの( A )方式が用いられる。
  • (2):TDMA 方式は、( B )を分割して各地球局に回線を割り当てる。
  • (3):10[GHz]以上の電波を使用する衛星通信は、( C )による信号の減衰を受けやすい。
ABC
1多元接続時間降雨
2多元接続時間電離層シンチレーション
3再生中継時間降雨
4再生中継周波数電離層シンチレーション
5再生中継周波数降雨

解答

1

解説

多元接続(Multiple Access)

宇宙局(衛星)と比べて地球局の数の方が多いため、複数の地球局同士で、通信路を共有する必要があります。

なぜなら、複数の地球局が一斉に宇宙局に通信すると、お互いの電波が干渉し、通信が失敗するからです。

つまり、何らかのチャネル(周波数、時間、符号、空間など)を共有し、割り当てられた周波数帯域を地球局同士で共有する仕組みが必要となります。

これを多元接続(Multiple Access)と言います。

代表的には下記の4通りがあります。

  • FDMA(Frequency Division Multiple Access、周波数分割多元接続)
    周波数帯を分割して割り当てることで、干渉しないように通信する方式
  • TDMA(Time Division Multiple Access、時分割多元接続)
    通信できる時間を細切れに分割し、通信できる時間を割り当てる方式
  • CDMA(Code Division Multiple Access、符号分割多元接続)
    拡散符号と呼ばれる特別な符号を地球局へ割り当て、地球局を識別できるようにする方式
  • SDMA(Space Division Multiple Access、空間分割多元接続)
    アンテナの指向性を利用し、干渉を防ぐことで同時に通信をできるようにする方式

電離層シンチレーションと降雨減衰

衛星と地球局との間の通信において、電離層シンチレーションや降雨減衰といった影響を受け、電波が減衰してしまいます。

  • 電離層シンチレーション
    電波が電離層内を通過する際に電波の強度や位相が変動する現象のこと。
  • 降雨減衰
    電波が雨によって吸収や反射してしまい、減衰してしまう現象。雷雨や集中豪雨などのような強い雨が降る場合に、衛星放送が映らなるなどの影響が出る。

電離層シンチレーションは周波数の低い領域で影響を受け、また降雨減衰は周波数の高い領域で影響を受けることが知られています。

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