第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和4年6月 無線工学(A)問15

2022-07-03

問題

次の記述は、パルスレーダーの最大探知距離を向上させる一般的な方法について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。

  1. アンテナの海抜高又は地上高を高くする。
  2. アンテナの利得を大きくする。
  3. 送信電力を大きくする。
  4. 受信機の感度を良くする。
  5. 送信パルス幅を狭くし、パルス繰返し周波数を高くする。

解答

5

レーダーの最大探知距離を向上させるには、パルス幅を大きくする必要があります。

そのほかの「アンテナ高を高くする」「アンテナの利得を大きくする」「電力を上げる」「受信感度を上げる」については、電波の到達距離が長くなり探知距離も長くなるため、正しい。

解説

レーダー(Radar)

レーダーはある対象となる物体までの距離や方向を測る装置で、電波をその物体に向けて発射し、その反射波によって距離や方向を測定します。

レーダーの最大探知距離

レーダーが物体を探せる最大の距離の事で、これより長い距離の物体は見つけることができません。

レーダーと目標となる物体には、下記の関係があることが知られています。

$$\begin{eqnarray} P_r=\frac{P_t G^2 \lambda ^2 \sigma }{(4\pi)^3R^4} \end{eqnarray}$$

ここで、数式中の文字の意味は下記の通りです。

  • Pr:レーダーの受信電力 [W]
  • Pt:レーダーの送信電力 [W]
  • G:アンテナの利得
  • λ:波長 [m]
  • σ:物体のレーダーの反射面の面積 [m2] (レーダー反射断面積)
  • R:レーダーから物体までの距離 [m]

この式をRについて解きます。

$$\begin{eqnarray} R=\left (\frac{P_t G^2 \lambda ^2 \sigma }{(4\pi)^3P_r}\right ) ^\frac{1}{4} \end{eqnarray}$$

また、光速c=fλ=λ/T[m]なので、下記の様に変形できます。

$$\begin{eqnarray} R=\left (\frac{P_t G^2 c^2 T ^2 \sigma }{(4\pi)^3P_r}\right ) ^\frac{1}{4} \end{eqnarray}$$

この式より、周期Tが大きくなればなるほど、Rも大きくなることが分かります。

つまり、最大探知距離を大きくするには、パルス幅を大きくする必要があるのです。

-第一級陸上特殊無線技士
-,

© 2024 はちさんの通信系資格ブログ