問題
次の記述は、無線中継所等において広く使用されているシール鉛蓄電池について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。
- 定期的な補水(蒸留水)は、不必要である。
- 電解液は、放電が進むにつれて比重が低下する。
- シール鉛蓄電池を構成する単セルの電圧は、約2[V]である。
- 通常、密閉構造となっているため、電解液が外部に流出しない。
- 正極はカドミウム、負極は金属鉛、電解液には希硫酸が用いられる。
解答
5
解説
鉛蓄電池
鉛蓄電池は、電極に鉛を用いた電池です。自動車用のバッテリーとしてよく用いられるほか、通信機器用のバッテリーとしてもよく用いられています。
鉛蓄電池は、陽極に二酸化鉛、陰極に鉛、電解液に希硫酸を用います。
すると、鉛から電子が失われ、導線を通じて電子が移動します。この電子の流れによって電流が発生するのが鉛蓄電池の仕組みです。
その後、陽極では、二酸化鉛、希硫酸中の硫酸イオン(SO42-)、運ばれてきた電子(e-)とが反応し、硫酸鉛(りゅうさんなまり、PbSO4)と水(H2O)が発生します。
一方、陰極では鉛と硫酸イオン(SO42-)が反応し、硫酸鉛(PbSO4)が発生します。
- 1.定期的な補水(蒸留水)は、不必要である。
→正しい。ベント型鉛蓄電池とシール型鉛蓄電池があります。ベント型には化学反応にて発生するガスを逃がすための排気孔(ベント)があり、また電解液が蒸発するため、定期的に補水する必要があります。一方、シール型は、ガスの発生を減らし、密封状態にした鉛蓄電池です。シール型は密閉しているために電解液が蒸発しないため、補水が不要です。
- 2.電解液は、放電が進むにつれて比重が低下する。
→正しい。電解液である希硫酸が反応によって水に変わっていくため、電解液の比重が下がっていきます。
- 3.シール鉛蓄電池を構成する単セルの電圧は、約2[V]である。
→正しい。単セルの鉛蓄電池の公称電圧は2.0[V]です。
- 4.通常、密閉構造となっているため、電解液が外部に流出しない。
→正しい。ベント型は電池を倒してしまうと、排気孔(ベント)から希硫酸が漏れる可能性があります。一方、シール型は密閉しているため、電解液の流出を防げます。
- 5.正極はカドミウム、負極は金属鉛、電解液には希硫酸が用いられる。
→誤り。上記の図のように、正極は二酸化鉛、負極は金属鉛、電解液は希硫酸が用いられます。