第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和2年10月 無線工学(A)問21

2020-12-18

問題

電波の伝搬において、送受信アンテナ間の距離を8[km]、使用周波数を7.5[GHz]とした場合の自由空間基本伝送損失の値として、最も近いものを下の番号から選べ。

ただし、自由空間基本伝送損失Γ0(真数)は、送受信アンテナ間の距離をd[m]、使用電波の波長をλ[m]とすると、次式で表されるものとする。また、log102=0.3及び π2=10とする。

$$\Gamma _0 = \left(\frac{4\pi d}{\lambda}\right)^2$$
  1. 116 [dB]
  2. 122 [dB]
  3. 128 [dB]
  4. 134 [dB]
  5. 136 [dB]

解答

3

解説

距離減衰

電波はどこまでも届くわけではなく、通信できる範囲が限られます。というのも、送信機から受信機が遠ければ遠いほど、電波が弱くなっていくからです。これを距離減衰といいます。

特に、距離減衰の中でも自由空間での距離減衰を自由空間伝搬損失といいます。

自由空間とは、送信機と受信機の間に障害物や反射が無く、電波が直接伝搬するような環境をいいます。自由空間伝搬損失は下記式で求められます。

$$\begin{eqnarray} \Gamma _0 = \left(\frac{4\pi d}{\lambda}\right)^2 \end{eqnarray}$$

この式を用いて、問題の自由空間伝搬損失を求めます。光速c=fλの関係式を用いて、下記の様に展開します。

$$\begin{eqnarray} \Gamma _0 [\rm{dB}] &=& 10\log_{10}\left(\frac{4\pi d}{\lambda}\right)^2 \\ &=& 10\log_{10}\left(\frac{4\pi df}{c}\right)^2 \\ &=& 10\log_{10}\left(\frac{4\pi\times8.0\times10^3\times7.5\times10^9}{3.0\times10^8}\right)^2 \\ &=& 10\log_{10}\left(4\pi\times20\times10^4\right)^2 \\ &=& 10\log_{10}\left(8\pi\times10^5\right)^2 \\ &=& 10\log_{10}8^2 + 10\log_{10}\pi^2 + 10\log_{10}10^{10}\\ &=& 60\log_{10}2 + 10\log_{10}10 + 100\log_{10}10\\ &=& 60\times 0.3 + 10 + 100\\ &=& 128 [\rm{dB}]\\ \end{eqnarray}$$

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