第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和2年10月 無線工学(A)問19

2020-12-16

問題

次の記述は、伝送線路の反射について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。

  1. 電圧反射係数は、伝送線路の特性インピーダンスと負荷側のインピーダンスから求めることができる。
  2. 負荷インピーダンスが伝送線路の特性インピーダンスに等しく、整合しているときは、伝送線路上には進行波のみが存在し反射波は生じない。
  3. 反射が大きいと電圧定在波比(VSWR)の値は大きくなる。
  4. 電圧反射係数は、反射波の電圧(Vr)を進行波の電圧(Vf)で割った値(Vr/Vf)で表される。
  5. 整合しているとき、電圧反射係数の値は、1となる。

解答

5

整合している時は反射波が0なので、反射係数の値も0となるため、5が誤り。

解説

反射係数

異なる特性インピーダンスの伝送路同士を接続すると、反射波といって、信号の一部が戻ってきてしまい、電力損失が発生します。

入射波と反射波の電圧の割合を反射係数といい、下記式で表されます。

$$\begin{eqnarray} \Gamma=\frac{V_r}{V_i}=\frac{Z_L-Z_0}{Z_L+Z_0} \end{eqnarray}$$

Viは入射波の電圧、Vrは反射波の電圧を表します。

ZL=Z0となっている状態を整合といい、整合している時に反射波が0となり、反射係数も0となります。

また、反射の度合いを表す数字として、他にVSWR(電圧定在波比、Voltage Standing Wave Ratio)という表し方もあります。

電圧定在波比は、定在波(入射波と反射波を足したもの。)の電圧最大値と最小値の比で表され、反射係数を使って下記の様に変換できることが知られています。

$$\begin{eqnarray} VSWR=\frac{V_{\rm max}}{V_{\rm min}}=\frac{1+|\Gamma|}{1-|\Gamma|} \end{eqnarray}$$

VSWR=1の時が反射がない状態を表し、反射が多くなるほどVSWRが大きくなっていきます。

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