第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和元年6月 無線工学(A)問8

2021-01-22

問題

次の記述は、図に示すパルス符号変調(PCM)方式を用いた伝送系の原理的な構成例について述べたものである。(  )内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。

  • (1):標本化とは、一定の時間間隔で入力のアナログ信号の振幅を取り出すことをいい、入力のアナログ信号を標本化したときの標本化回路の出力は、( A )波である。
  • (2):振幅を所定の幅ごとの領域に区切ってそれぞれの領域を1個の代表値で表し、標本化によって取り出したアナログ信号の振幅を、その代表値で近似することを量子化といい、量子化ステップの数が( B )ほど量子化雑音は小さくなる。
AB
1パルス振幅変調(PAM)多い
2パルス位相変調(PPM)多い
3パルス振幅変調(PAM)少ない
4パルス位相変調(PPM)少ない

解答

1

解説

パルス符号変調(PCM)

パルス符号変調(PCM;Pulse Code Modulation)とは、アナログ信号をディジタル信号に変換する方式の1つです。

アナログ信号をディジタル信号に変換するには、標本化、量子化、符号化という3ステップを踏みます。

標本化を英語でサンプリング(sampling)ともいいます。

また、標本化のグラフのように、信号を一定の周期でサンプリングしてパルス化することを、パルス振幅変調(PAM;Pulse Amplitude Modulation)といいます。

では、サンプリングをどのくらいの間隔で行えばよいのでしょうか?

というのも、細かくやるとサンプル数が多くなりますし、少なすぎるとちゃんと元の信号を復元できるのでしょうか。

その答えが標本化定理なのです。

具体的には、アナログ信号を最大周波数の2倍より大きな周波数でサンプリングすると、ディジタル信号から元のアナログ信号を復元できます。

また、サンプリングをする間隔をサンプリング周期やサンプリング間隔といい、1秒間に行うサンプリングの回数をサンプリング周波数や標本化周波数と言います。

数式で表すと、サンプリング周波数fsと元の周波数fには、下記の関係式が成り立ちます。

$$\begin{eqnarray} f_s>2f \end{eqnarray}$$

また、周波数と周期は逆数の関係があるので、サンプリング間隔Tsと周波数fには、下記の関係式が成り立ちます。

$$\begin{eqnarray} T_s<\frac{1}{2f} \\ \end{eqnarray}$$

つまり、元の信号の半分より短い周期でサンプリングをすれば信号を復元できる、ということを意味します。

量子化

量子化は、標本化したパルスを、一番近いレベルへ近似することをいいます。

量子化を行うと、本来の信号の電圧と一番近いレベルの電圧には誤差が生じることになります。これを量子化誤差といいます。

量子化誤差を小さくするには、量子化する幅(量子化ステップ)を細かくします。

復調器

受信側では、受信したディジタル信号を元のアナログ信号に戻す必要があります。

復号化では、ディジタル値をアナログ値に変換することで、信号を復元します。

しかし、このままでは波形はギザギザのままです。

ギザギザの波形には不要な高周波成分が含まれているため、これを切り落とす必要があります。

そのため、低域通過フィルタ(LPF)に通すことで、不要な高周波成分がカットされ、波形がなめらかになります。

このLPFはサンプルとサンプルの間を埋め合わせることから、補間フィルタとも呼ばれます。

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