第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和元年10月 無線工学(B)問10

2020-11-08

問題

受信機の雑音指数が3[dB]、周囲温度が17[℃]及び受信機の雑音出力を入力に換算した等価雑音電力の値が8.28×10-14[W]のとき、この受信機の等価雑音帯域幅の値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、ボルツマン定数は 1.38×10-23[J/K]、log102=0.3とする。

  1. 5 [MHz]
  2. 6 [MHz]
  3. 8 [MHz]
  4. 10 [MHz]
  5. 12 [MHz]

解答

4

解説

熱雑音、雑音電力

どのような回路や伝送路でも、ノイズ(雑音)が発生します。これはブラウン運動といって、どんな抵抗でも、絶対温度が0でない限り、その内部で電子が不規則に振動しまうことに起因しています。

これを総称して熱雑音、または単に雑音といっています。

雑音電力Pn[W]は下記の関係式を持つことが知られています。

$$\begin{eqnarray} P_n=kTB \end{eqnarray}$$

ここで、kはボルツマン定数 1.38×10-23 [J/K]、Tは絶対温度 T=[℃]+273.15 [K]、Bは帯域幅[Hz]を表します。

※雑音電力は、本によっては、Pn=4kTBと表記される場合もあります。

また、増幅器の入力信号と出力信号を比較したとき、どのくらいSNが劣化するかを示した値を雑音指数(Noise Factor、NF;エヌエフ)と言います。

NFは下記式で求められます。

$$\begin{eqnarray} NF&=&10\log_{10}\frac{S_i/N_i}{S_o/N_o} \\ &=&10\log_{10}\frac{N_o}{GkTB} \end{eqnarray}$$

ここでGは増幅器での増幅率を表します。

この問題では、帯域幅Bを求める必要があるため、数式を変形します。

まず、NF=3[dB]、3=10log102を代入します。

$$\begin{eqnarray} NF&=&10\log_{10}\frac{N_o}{GkTB}\\ 3&=&10\log_{10}\frac{N_o}{GkTB} \\ 10\log_{10}2&=&10\log_{10}\frac{N_o}{GkTB} \end{eqnarray}$$

したがって、受信器の増幅率Gを1として、

$$\begin{eqnarray} 2&=&\frac{N_o}{kTB} \\ B&=&\frac{N_o}{2kT} \\ &=&\frac{8.28\times10^{-14}}{2\times1.38\times10^{-23}\times290} \\ &=&\frac{3.0\times10^{9}}{290} \\ &=&1.03\times10^7\\ &\simeq&10 [\rm MHz] \end{eqnarray}$$

と求めることができます。

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