問題
次の記述は、対地静止衛星を利用する通信について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。
- 衛星通信では、一般に送信地球局から衛星へのアップリンク用の周波数と衛星から受信地球局へのダウンリンク用の周波数が対で用いられる。
- 衛星通信に10[GHz]以上の電波を使用する場合は、大気圏の降雨による減衰を受けやすい。
- VSAT制御地球局には大口径のカセグレンアンテナを、VSAT地球局には小型のオフセットパラボラアンテナを用いることが多い。
- 電波が、地球上から通信衛星を経由して再び地球上に戻ってくるのに約0.1秒を要する。
- 3個の通信衛星を赤道上空に等間隔に配置することにより、極地域を除く地球上のほとんどの地域をカバーする通信網が構成できる。
解答
4
解説
静止衛星について
1.衛星通信では、一般に送信地球局から衛星へのアップリンク用の周波数と衛星から受信地球局へのダウンリンク用の周波数が対で用いられる。
→正しい。衛星通信ではアップリンクとダウンリンクの周波数を別に確保し、それを1つのペアとして用います。
例えば、VSATシステムでは、下記の様に周波数の割り当てがされています。
2.衛星通信に10[GHz]以上の電波を使用する場合は、大気圏の降雨による減衰を受けやすい。
→正しい。降雨減衰は周波数の高い領域で影響を受けます。
3.VSAT制御地球局には大口径のカセグレンアンテナを、VSAT地球局には小型のオフセットパラボラアンテナを用いることが多い。
→正しい。VSAT制御地球局には大口径のカセグレンアンテナを、VSAT地球局には小型のオフセットパラボラアンテナを用います。VSAT(Very Small Aperture Terminal)とは、通信衛星を用いた通信システムのことです。
4.電波が、地球上から通信衛星を経由して再び地球上に戻ってくるのに約0.1秒を要する。
→誤り。地球が衛星を経由して戻ってくるには、約0.24秒かかります。
5.3個の通信衛星を赤道上空に等間隔に配置することにより、極地域を除く地球上のほとんどの地域をカバーする通信網が構成できる。
→正しい。理論上は3つの衛星で地球をカバーできます。
電波が通信衛星を経由して地球に戻る時間
時間=距離/速さの関係式を用いて計算します。衛星が赤道の上空約36,000 [km]に回っているとすると、地球~衛星間距離は往復で72,000 [km]です。
また、電波の速さは、光速と等しく3.0×108 [m/s]です。これより、時間t [s]は、
$$\begin{eqnarray} t=\frac{72,000\times10^3}{3.0\times10^8}=24/100=0.24[\rm s] \end{eqnarray}$$と求めることができます。