第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和4年2月 無線工学(B)問14

2022-04-25

問題

地上系マイクロ波(SHF)のデジタル多重通信回線における再生中継方式についての記述として、正しいものを下の番号から選べ。

  1. 中継局において、受信したマイクロ波をいったん復調して信号の波形を整え、また同期を取り直してから再び変調して送信する方式である。
  2. 中継局において、受信したマイクロ波を固体増幅器等でそのまま増幅して送信する方式である。
  3. 反射板等で電波の方向を変えることで中継を行い、中継用の電力を必要としない中継方式である。
  4. 中継局において、受信したマイクロ波を中間周波数に変換して増幅し、再びマイクロ波に変換して送信する方式である。

解答

1

解説

マイクロ波の中継方式

通信到達距離を伸ばしたり、通信エリアを拡大したりする目的で、送信元から宛先の途中に中継局を設け、減衰した信号を増幅する方式を中継方式と言います。

マイクロ波のうち、特に3GHzから30GHzの周波数をSHF(Super High Frequency)と言いますが、マイクロ波の中継方式として下記の4つがあります。

  1. 無給電中継方式
  2. 直接中継方式
  3. 非再生中継方式(ヘテロダイン中継方式)
  4. 再生中継方式

無給電中継方式

増幅装置を用いず、電波を中継する方式を無給電中継方式(Passive Repeater)と言います。

特に、山間部などで見通し内通信ができない場合に、反射板を用いて電波を反射させ伝搬させるという使い方が用いられます。

その名の通り、増幅装置が無いため電力供給の必要が無く、構成がシンプルであるため、メンテナンスが簡単というメリットがあります。

直接中継方式

直接中継方式は、受信した信号を復調せず、マイクロ波のまま増幅して転送する方式です。

構成が簡単な分、コストがかからず、また中継による遅延も小さくできます。

しかしながら、雑音や干渉もそのまま増幅してしまうため、信号が劣化するという欠点があります。

非再生中継方式(ヘテロダイン中継方式)

非再生中継方式は、受信した信号を一旦中間周波数に変換し、中間周波増幅器によって増幅し、その後マイクロ波に変換して送信する方式です。ヘテロダイン中継方式ともいいます。

直接中継方式と同じように、信号の復調・変調は行われませんが、中間周波増幅器を用いることで、高周波増幅器が不要となるため、雑音や波形ひずみが直接中継方式よりも少なくなります。

再生中継方式

再生中継方式は、受信した信号を一旦復調し、再度変調した後に送信する方式です。

一度復調を行うことで、雑音や干渉による誤りを訂正したうえで送信するため、非再生中継方式に比べて誤りが少なく正確なデータ伝送ができます。

しかしながら、回路構成が複雑になり、また信号処理を行う分、遅延が発生するという欠点があります。

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