第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和2年2月 無線工学(A)問20

2020-09-11

問題

次の記述は、マイクロ波回線の設定の際に考慮される第1フレネルゾーンについて述べたものである。(  )内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、使用する電波の波長をλとする。

  • (1):図に示すように、送信点Tと受信点Rを焦点とし、TPとPRの距離の和が、焦点間の最短の距離TRよりも( A )だけ長い楕円を描くと、直線TRを軸とする回転楕円体となり、この楕円の内側の範囲を第1フレネルゾーンという。
  • (2):一般的には、自由空間に近い良好な伝搬路を保つため、回線途中にある山や建物などの障害物が第1フレネルゾーンに入らないようにクリアランスを設ける必要がある。
  • (3):図に示す第1フレネルゾーンの断面の半径rは、使用する周波数が高くなるほど( B )なる。
AB
1λ/4大きく
2λ/4小さく
3λ/2大きく
4λ/2小さく
5λ大きく

解答

4

解説

フレネルゾーン

送信側から受信側へ電波を送信する際、その間に障害物がなく、送信側から受信側まで直接、電波を届けられる環境を見通し(LOS; Line Of Sight)があるといいます。(見通し内通信、見通し内伝搬、見通しが良い、などともいうことがありますが、すべて同じ意味です)

反対に、遮蔽物で遮られる場合は見通し外(NLOS; Non Line Of Sight)通信、といいます。(同様に、見通し外伝搬、見通しが悪い、などとも言います)

この見通し内なのか、見通し外なのか、を分ける目安となるのが、フレネルゾーンという考え方です。

というのも、フレネルゾーンの中にある遮蔽物によって、損失がほぼ決まってしまうからです。

フレネルゾーンは、送信側と受信側を結ぶ線を回転軸とした楕円体の範囲のことを言います。

なぜフレネルゾーンという考え方があるのかというと、電波は送信側と受信側へまっすぐ進むだけでなく、その周囲に広がりを持って伝搬するからです。

また、送信側と受信側の最短距離d+λ/2までの範囲にある楕円体を、第1フレネルゾーンと言います。

フレネルゾーンの大きさを決める短軸の長さrは、次の式で求められることが知られています。

$$\begin{eqnarray} r=\sqrt{\frac{\lambda d_1 d_2}{d_1+d_2}}=\sqrt{\frac{c}{f}\times\frac{d_1 d_2}{d_1+d_2}} \end{eqnarray}$$

これより、短軸の長さrは、周波数が大きくなるほどは小さくなることが分かります。

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