問題
次の記述は、送信アンテナと給電線との接続について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。
- アンテナと給電線のインピーダンスが整合していないと、反射損が生じる。
- アンテナと給電線のインピーダンスが整合しているときの電圧定在波比(VSWR)の値は1である。
- アンテナと給電線のインピーダンスが整合していないと、給電線に定在波が生じる。
- アンテナと給電線のインピーダンスが整合しているとき、給電線からアンテナへの伝送効率が最小になる。
- アンテナと給電線のインピーダンスの整合をとるには、整合回路などによりアンテナの給電点インピーダンスと給電線の特性インピーダンスを合わせる。
解答
4
解説
反射係数
異なる特性インピーダンスの伝送路同士を接続すると、反射波といって、信号の一部が戻ってきてしまい、電力損失が発生します。
入射波と反射波の電圧の割合を反射係数といい、下記式で表されます。
$$\begin{eqnarray} \Gamma=\frac{V_r}{V_i}=\frac{Z_L-Z_0}{Z_L+Z_0} \end{eqnarray}$$Viは入射波の電圧、Vrは反射波の電圧を表します。
ZL=Z0となっている状態を整合といい、整合している時に反射波が0となり、反射係数も0となります。
また、反射の度合いを表す数字として、他にVSWR(電圧定在波比、Voltage Standing Wave Ratio)という表し方もあります。
電圧定在波比は、定在波(入射波と反射波を足したもの。)の電圧最大値と最小値の比で表され、反射係数を使って下記の様に変換できることが知られています。
$$\begin{eqnarray} VSWR=\frac{V_{\rm max}}{V_{\rm min}}=\frac{1+|\Gamma|}{1-|\Gamma|} \end{eqnarray}$$VSWR=1の時が反射がない状態を表し、反射が多くなるほどVSWRが大きくなっていきます。