問題
次の記述は、半導体及び半導体素子について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。
- 不純物を含まないSi(シリコン)、Ge(ゲルマニウム)等の単結晶半導体を真性半導体という。
- PN接合ダイオードは、電流がN形半導体からP形半導体へ一方向に流れる整流特性を有する。
- P形半導体の多数キャリアは、正孔である。
- ツェナーダイオードは、主に逆方向電圧を加えたときの定電圧特性を利用する。
解答
2
解説
半導体素子について
1.不純物を含まないSi(シリコン)、Ge(ゲルマニウム)等の単結晶半導体を真性半導体という。
→正しい。不純物を含まない半導体を真性半導体といいます。
2.PN接合ダイオードは、電流がN形半導体からP形半導体へ一方向に流れる整流特性を有する。
→誤り。ダイオードはP→Nの方向に電流が流れます。

3.P形半導体の多数キャリアは、電子である。
→正しい。上図の通り、P形半導体のキャリアは正孔です。PはPositiveのPで正孔、NはNegativeのNで電子、と覚えます。
4.ツェナーダイオードは、主に逆方向電圧を加えたときの定電圧特性を利用する。
→正しい。以下の通り、逆方向の電圧を加えたときの定電圧特性を利用するものです。
ツェナーダイオード
ツェナーダイオードは、定電圧ダイオードともよばれ、一定の電圧を取り出すために使われるダイオードです。
通常のダイオードと、ツェナーダイオードの比較を下記に示します。

通常のダイオードでは、電圧を上げていくと、約0.7[V]以上になったときに、ダイオードに電流が導通するようになります。
これを順方向特性といいます。
ツェナーダイオードも同様で、電圧を上げていくと、約0.7[V]以上になったときに、ダイオードに電流が導通するようになります。
一方、ツェナーダイオードには、別の特徴もあります。それが、逆方向特性です。
順方向と同じ考えで、マイナスの電圧をかけていくと、ある一定の電圧以上でダイオードに電流が導通するようになります。
これをツェナー降伏といいます。
逆を言えば、ツェナーダイオードにマイナスの電流が流れると、一定の電圧を得られる、ともいうことができます。
このように、ツェナーダイオードは、ツェナー降伏を利用して、定電圧を得る目的で使われています。