問題
次の記述は、オフセットパラボラアンテナについて述べたものである。( )内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。なお、同じ記号の( )内には、同じ字句が入るものとする。
- (1):曲面が( A )の反射鏡の一部と、( A )の焦点に置かれた一次放射器から構成されている。
- (2):開口面の正面に一次放射器や給電線路など電波の通路をさえぎるものがないため、これらにより電波の通路がブロッキングを受けず、円形パラボラアンテナに比べてサイドローブが少ない。
- (3):開口面の前面に一次放射器がないため、反射鏡面からの反射波はほとんど一次放射器に戻らず、円形パラボラアンテナに比べて周波数特性が( B )である。
A | B | |
---|---|---|
1 | 回転放物面 | 狭帯域 |
2 | 回転放物面 | 広帯域 |
3 | 回転双曲面 | 狭帯域 |
4 | 回転双曲面 | 広帯域 |
解答
2
解説
アンテナ
無線通信を行うために、電気を電波に変換し、電波を送信したり受信したりする装置をアンテナと言います。
アンテナは空中線ともいい、代表的には下記の様な種類のアンテナがあります。
開口面アンテナ
開口面アンテナには、その名の通り、開口面より電波を放出するのが特徴で、反射鏡アンテナ(パラボラアンテナ、カセグレンアンテナ)とホーンアンテナなどがあります。
パラボラアンテナでは、一次放射器から放出した電波を、回転放物面の形をした反射鏡にて集積し、放出されます。
一次放射器は回転放物面の焦点に設置します。
カセグレンアンテナでは、回転双曲面の形をした副反射鏡を設置することで、パラボラアンテナと比較して一次放射器に当たって発生するロス(ブロッキング)をなくすことができます。
また、カセグレンアンテナはパラボラアンテナと比較し、一次放射器が主反射鏡側にあり、その分の給電線や導波管の長さを短くできるためロスが少なくなります。
パラボラアンテナの利得と指向性
パラボラアンテナは、下図のように非常に鋭い指向性を持ちます。
このように鋭いビームを持つアンテナを、鉛筆のような鋭さから、ペンシルビームアンテナと言います。
※一方、携帯電話基地局に用いられるようなセクタアンテナは、水平方向に広く、垂直方向に鋭いビームを持ちます。このように、1つの次元で鋭く、もう1つの次元で広い指向性を持つアンテナをファンビームアンテナと言います。
パラボラアンテナは、開口面から放射された電波が平面波(位相が揃った波)として伝搬されます。
オフセットパラボラアンテナ
パラボラアンテナとオフセットパラボラアンテナの違いを下記に示します。
パラボラアンテナは一次放射器から電波を放出し、主反射鏡で反射させる構造をしています。
しかし、ブロッキングといって、反射した電波の一部が一次放射器に遮られ、減衰してしまいます。
このブロッキングを無くすために、一次放射器を電波の放出する方向の外側に設置したアンテナがオフセットパラボラアンテナなのです。