第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和5年10月 無線工学(B)問18

2023-12-22

問題

次の記述は、図に示す同軸ケーブルについて述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。

  1. 使用周波数が高くなるほど誘電損が大きくなる。
  2. 不平衡形の給電線として用いられる。
  3. 外部導体の内径寸法Dと内部導体の外径寸法dの比D/dの値が小さくなるほど、特性インピーダンスは大きくなる。
  4. 送信機及びアンテナに接続して使用する場合は、それぞれのインピーダンスと同軸ケーブルの特性インピーダンスを整合させる必要がある。

解答

3

解説

  1. 正しい。誘電体損失は周波数に比例する。
  2. 正しい。同軸ケーブルは不平衡の信号を伝送する。
  3. 誤り。D/dが大きくなるほど特性インピーダンスも大きくなる。
  4. 正しい。整合(マッチング)が必要。

同軸ケーブルの構成

同軸ケーブル(coaxial cable)は、内部導体を絶縁体と外部導体で円状に取り囲んだケーブルで、テレビとアンテナを接続するケーブルとしてよく使われています。

外部導体で内部導体を保護することで、信号の外部への放出や、外部からの干渉波を防ぐことができます。

同軸ケーブルの特性インピーダンスZ0は下記の関係式で求められることが知られています。

$$Z_0=\frac{60}{\sqrt{\varepsilon}}\log_e{\frac{D}{d}}=\frac{138.1}{\sqrt{\varepsilon}}\log{\frac{D}{d}}$$

下図の通り、logD/dはD/dが大きくなるほど大きくなります。そのため、D/dが大きくなると特性インピーダンスZ0も大きくなります。

同軸ケーブルの誘電体損失

同軸ケーブルは絶縁体(=誘電体)を内部に敷き詰めた構造をしています。

そのため、信号は誘電体損失により、減衰を起こしてしまいます。

誘電体損失P[W/km]は、下記の関係式で表されます。

$$P=2\pi fCV^2\tan\delta [\rm W/km]$$

これより、同軸ケーブルの誘電体損失Pは周波数f[Hz]に比例するという特性を持っています。

ここで、Cは同軸ケーブルの持つ静電容量[F/km]、Vは電圧[V]、tanδは誘電正接を表します。

特に、tanδはタンデルタと読み、コンデンサの電気エネルギー損失の割合を表す値です。ケーブル内に存在する静電容量Cに流れる電流Ic、ケーブル内に存在する抵抗Rに流れる電流をIrとすると、下記式で表されます。

$$\tan\delta=\frac{I_r}{I_c}$$

tanδは割合を示す値のため、[%]や小数で表されます。

平衡と不平衡

2本の信号線について、1本目の信号に対して、もう1本の信号が、互いに逆相となっている信号を平衡といい、そうでない関係のものを不平衡といいます。

例えば、フィーダー線などは2本の線に対して信号がそれぞれ逆相となり対称の関係にあるのに対して、同軸ケーブルは内部導体と外部導体で信号が対称となりません。

そのため、平衡と不平衡の関係のものを接続するために、バランと呼ばれる変換器を接続します。

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