第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和5年6月 無線工学(B)問1

2023-07-16

問題

次の記述は、マイクロ波(SHF)帯を利用する通信回線又は装置の一般的な特徴について述べたものである。このうち正しいものを下の番号から選べ。

  1. 周波数が高くなるほど、雨による減衰が小さくなり、大容量の通信回線を安定に維持することが容易になる。
  2. アンテナの大きさが同じとき、周波数が高いほどアンテナ利得は小さくなる。
  3. 低い周波数帯よりも使用する周波数帯域幅が広くとれるため、多重回線の多重度を大きくすることができる。
  4. 低い周波数帯よりも空電雑音及び人工雑音の影響が大きく、良好な信号対雑音比(S/N)の通信回線を構成することができない。
  5. 電離層伝搬による見通し外の遠距離通信に用いられる。

解答

3

解説

マイクロ波を利用した通信の特徴に関する問題です。

マイクロ波とは、周波数300MHz~30GHzの電波のことをいいます。

その中でも、SHF帯(Super High Frequency)は、3GHzから30GHzの周波数の電波をいいます。

  • 1.周波数が高くなるほど、雨による減衰が小さくなり、大容量の通信回線を安定に維持することが容易になる。
    →誤り。周波数が高くなるほど、降雨減衰も大きくなります。
  • 2.アンテナの大きさが同じとき、周波数が高いほどアンテナ利得は小さくなる。
    →誤り。アンテナの開口面積が同じとき、周波数が高いほどアンテナ利得は大きくあります。
  • 3.低い周波数帯よりも使用する周波数帯域幅が広くとれるため、多重回線の多重度を大きくすることができる。
    →正しい。
  • 4.低い周波数帯よりも空電雑音及び人工雑音の影響が大きく、良好な信号対雑音比(S/N)の通信回線を構成することができない。
    →誤り。空電雑音は雷などにより生じる雑音ですが、主に低周波数帯で影響を受けます。
  • 5.電離層伝搬による見通し外の遠距離通信に用いられる。
    →誤り。電離層伝搬は〜30MHz程度までの低周波数帯で生じる現象です。

降雨減衰

大気中の雨や霧、雲などによって、電波が吸収や反射、散乱をしてしまい、減衰してしまう現象を降雨減衰といいます。

特に、雷雨や集中豪雨などのような、強い雨が降る場合、衛星放送が映らなくなるなどの影響が出るときがあります。

降雨減衰は、十数GHzといった、周波数の高い領域で影響を受けます。

アンテナの利得

アンテナ利得Gは、アンテナの実効面積Aeと波長λを用いて、下記で表されます。

$$G=\frac{4\pi}{\lambda^2}A_e$$

波長λを光速cと周波数fで書き換えます。

$$\begin{eqnarray} G&=&\frac{4\pi}{\frac{c^2}{f^2}}A_e \\ &=&\frac{4\pi f^2}{c^2}A_e \\ \end{eqnarray}$$

これより、アンテナ利得Gは周波数fの2乗に比例することがわかります。

-第一級陸上特殊無線技士
-,

© 2024 はちさんの通信系資格ブログ