第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和5年2月 無線工学(A)問21

2023-03-02

問題

次の記述は、マイクロ波(SHF)のフェージングについて述べたものである。( )内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。

  • (1):大気層の揺らぎなどにより部分的に屈折率が変化し、電波の一部が散乱して直接波と干渉するため、受信電界強度が( A )変動する現象をシンチレーションフェージングという。
  • (2):大気層において高さによる湿度の急変や( B )があるとき、ラジオダクトが発生し、受信電界強度が不規則に変動する現象をダクト形フェージングという。
  • (3):大気屈折率の分布状態が時間的に変化して地球の( C )が変化するため、直接波と大地反射波との干渉状態や大地による回折状態が変化して生ずるフェージングをK形フェージングという。
ABC
1比較的長い周期で大幅に温度の逆転層自転の角速度
2比較的長い周期で大幅に大気成分割合の変化自転の角速度
3比較的長い周期で大幅に温度の逆転層等価半径係数
4比較的短い周期で小幅に大気成分割合の変化自転の角速度
5比較的短い周期で小幅に温度の逆転層等価半径係数

解答

5

解説

フェージング

フェージングとは、信号が反射や回折によって様々な方向から到来した結果、受信側で信号の減衰や波形の歪みを引き起こしてしまう現象のことです。

下記に、送信機から受信機への電波の到達イメージを示します。

送信機から受信機へと信号が伝搬する際、信号は障害物や地面、大気などによって反射を何度も繰り返した後、受信機へと到達します。

受信機に届く信号は、様々な道(パス)を通ってきた信号すべての合成となり、減衰や波形の歪みを生じてしまいます。

これをフェージングと言います。

ラジオダクト

気象条件や天候により、大気の屈折率が変化します。

すると、大気中に、電波がうまく反射して遠くへ届いてしまう層ができてしまうことがあります。

これをラジオダクトと呼んでいます。

図では単純化して書いていますが、実際にはいくつかのダクトが発生します。

その結果、複数のダクトからの電波が、互いに干渉してしまいます。

この現象をダクト形フェージングといいます。

ダクト形フェージングは、雨天や強風の時より、晴天で風の弱いときに発生しやすいことが知られています。

等価地球半径

地球は丸まっているため、最短距離で伝搬するのではなく、下記の2つ目の図のようにもう少し長く伝搬します。

この実際の伝搬状況を直線的に表すためには、実際の地球より半径を4/3倍します。

これを等価地球半径といい、計数Kを等価地球半径計数と言います。

大気中での屈折を考慮しない場合がK=1、考慮する場合がK=4/3が用いられます。

しかし、このKの値は、実際には気象条件により変動します。

その結果、直接波と反射波の伝搬状況も気象条件によって変化することとなり、受信側では減衰や波形の歪みを引き起こします。

これを干渉性K形フェージングといいます。

電離層シンチレーション

大気層の揺らぎなどにより受信電界強度が変動する現象をシンチレーションと言います。

特に衛星と地球局との間の通信において、電離層シンチレーションの影響を受け、電波が減衰してしまうことが知られています。

電離層シンチレーションは、電波が電離層内を通過する際に電波の強度や位相が変動する現象のことを言います。

電離層シンチレーションは周波数の低い領域で影響を受け、また降雨減衰は周波数の高い領域で影響を受けることが知られています。

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