問題
次の記述は、デジタル無線通信における遅延検波について述べたものである。このうち正しいものを下の番号から選べ。
- 遅延検波は、受信する信号に対し、1シンボル(タイムスロット)後の信号を基準信号として用いて検波を行う。
- 遅延検波は、一般に同期検波より符号誤り率特性が優れている。
- 遅延検波は、PSK通信方式で使用できない。
- 遅延検波は、基準搬送波を再生する搬送波再生回路が不要である。
解答
4
解説
復調(検波)
送信側から送られた変調信号から、受信側で元の信号を取り出すこと復調といいます。
特に、無線の世界においては、復調を検波と呼ぶことがあります。
検波には、同期検波と遅延検波の2つの方法があります。
同期検波
検波の方式で、代表的なものが同期検波です。同期検波は、受信信号から基準搬送波を再生し、それを掛け合せる方式です。
例として、下記の構成図では、BPSK信号として、Acosωtの信号を受信したとします。
搬送波cosωtを掛け合せ、半角の公式で展開すると、A/2+A/2cos2ωtと展開できます。
ここで、A/2cos2ωtを低域通過フィルタでカットすると、A/2だけが残り、BPSKの識別器で「0」と判定されます。
これが同期検波の仕組みです。
遅延検波
ただし、同期検波では搬送波再生回路が必要となるため、より安価・簡単な回路構成で検波を行う方式として、遅延検波方式があります。
遅延検波では、搬送波発生回路の代わりに、1シンボル前の信号を搬送波発生回路の代わりに利用します。
同期検波よりも簡単な分、ビット誤り率は同期検波よりも悪くなることが知られています。