第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和3年2月 無線工学(B)問23

2021-04-08

問題

次の記述に該当する測定器の名称を下の番号から選べ。

  • 温度によって抵抗値が変化しやすい素子に、マイクロ波電力を吸収させ、ジュール熱による温度上昇によって起こる抵抗変化を測ることにより、電力測定を行うものである。素子としては、バレッタやサーミスタがあり、主に小電力の測定に用いられる。
  1. 熱電対電力計
  2. カロリメータ形電力計
  3. ボロメータ電力計
  4. CM形電力計
  5. 誘導形電力量計

解答

3

解説

ボロメータによる高周波電力測定(概要)

高周波の電力測定を測定する方法の1つとして、ボロメータブリッジという方法があります。

温度によって変化する素子(サーミスタ)にマイクロ波を照射させ、サーミスタにて電波を吸収させます。

すると、サーミスタの温度が変化し、それに伴って抵抗値が変化します。

ボロメータブリッジは、電波を照射することによって抵抗値が変化する、というサーミスタ特性を利用して、高周波電力を測定する方法です。

ボロメータブリッジの回路図を下記に示します。

ボロメータによる高周波電力測定(詳細)

ボロメータブリッジでは、マイクロ波入力がないときのサーミスタでの消費電力と、マイクロ波入力があるときの消費電力と、2回電力測定を行います。

この2つの電力の差分をとると、高周波電力が求められます。なぜなら、消費電力の増加分が、マイクロ波による電力による増加分だからです。

イメージを下記に示します。

続いて、詳細を説明します。

まず、マイクロ波がないときに、Rを調整して、平衡状態にします。

平衡状態では、RSR2=R1R3が成り立ちます。

したがって、サーミスタRSに流れる電流をI1とすると、1回目の測定の消費電力P1は、下記の様に表されます。

$$P_1=R_SI_1^2=\frac{R_1R_3}{R_2}I_1^2$$

続いて、マイクロ波をサーミスタRSに照射します。すると、平衡状態が崩れるので、Rを調整して、また平衡状態にします。

同様に、サーミスタRSに流れる電流をI2とすると、2回目の測定の消費電力P2は、下記の様に表されます。

$$P_2=R_SI_2^2=\frac{R_1R_3}{R_2}I_2^2$$

これより、高周波電力は、下記の様に求めることができます。

$$\begin{eqnarray} P_1-P_2&=&R_SI_1^2-R_SI_2^2 \\ &=&\frac{R_1R_3}{R_2}I_1^2-\frac{R_1R_3}{R_2}I_2^2 \\ &=&(I_1^2-I_2^2)\times \frac{R_1R_3}{R_2} \end{eqnarray}$$

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