第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和3年2月 無線工学(B)問13

2021-04-03

問題

衛星通信の時分割多元接続(TDMA)方式についての記述として、正しいものを下の番号から選べ。

  1. 隣接する通信路間の干渉を避けるため、ガードバンドを設けて多重通信を行う方式である。
  2. 中継局において、受信波をいったん復調してパルスを整形し、同期を取り直して再び変調して送信する方式である。
  3. 呼があったときに周波数が割り当てられ、一つのチャネルごとに一つの周波数を使用して多重通信を行う方式である。
  4. 多数の局が同一の搬送周波数で一つの中継装置を用い、時間軸上で各局が送信すべき時間を分割して使用する方式である。

解答

4

解説

時間で送信者を分けているので、4番のTDMAが正解です。

1番はFDMA、2番は再生中継方式、3番はデマンドアサイン方式とSCPCが混ざった説明になっています。

多元接続(Multiple Access)

宇宙局(衛星)と比べて地球局の数の方が多いため、複数の地球局同士で、通信路を共有する必要があります。

なぜなら、複数の地球局が一斉に宇宙局に通信すると、お互いの電波が干渉し、通信が失敗するからです。

つまり、何らかのチャネル(周波数、時間、符号、空間など)を共有し、割り当てられた周波数帯域を地球局同士で共有する仕組みが必要となります。

これを多元接続(Multiple Access)と言います。

代表的には下記の4通りがあります。

  • FDMA(Frequency Division Multiple Access、周波数分割多元接続)
    周波数帯を分割して割り当てることで、干渉しないように通信する方式
  • TDMA(Time Division Multiple Access、時分割多元接続)
    通信できる時間を細切れに分割し、通信できる時間を割り当てる方式
  • CDMA(Code Division Multiple Access、符号分割多元接続)
    拡散符号と呼ばれる特別な符号を地球局へ割り当て、地球局を識別できるようにする方式
  • SDMA(Space ivision Multiple Access、空間分割多元接続)
    アンテナの指向性を利用し、干渉を防ぐことで同時に通信をできるようにする方式

SCPCとMCPC

現在のテレビ放送では、映像(動画)に加えて、天気予報やニュースなどのデータ放送も同時に送信されています。

これは、テレビ局に割り当てられた周波数帯に、動画とデータを重畳しているからです。このように、複数の信号を束ねることを多重化と言います。

衛星通信や衛星放送の世界では、このように1つのキャリアに複数のチャネルを多重化して通信することをMCPC(Multiple Channel Per Carrier)と言います。

反対に多重化せず、1つのキャリアに1つのチャネルを割り当てる方式をSCPC(Single Channel Per Carrier)を呼んでいます。

回線割り当て方式

多元接続を実現するにあたり問題となるのが、どのようにチャネル(周波数、時間、符号、空間など)を地球局に割り当てるか、という点です。

地球局が少ない時代は、固定的に決まったチャネルを地球局に割り当てていました。

これをプリアサイン方式(プリアサインメント方式)と言います。

しかしながら、固定的に割り当てると、多元接続できる数が限られてしまいます。

というのも、地球局がその割り当てられたチャネルを利用していない場合でも、そのチャネルを占有してしまうからです。

この無駄を無くし多数の地球局が通信できるようにするために、地球局は通信をしたい時に、空いているチャネルを選択する方式が考えられました。

これをデマンドアサイン方式(デマンドアサインメント方式)と言います。

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