問題
次の記述は、図に示す回転放物面を反射鏡として用いる円形パラボラアンテナについて述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。
- 主ビームの電力半値幅の大きさは、開口面の直径Dと波長に比例する。
- 利得は、波長が短くなるほど大きくなる。
- 放射される電波は、ほぼ平面波である。
- 一次放射器などが鏡面の前方に置かれるため電波の通路を妨害し、電波が散乱してサイドローブが生じ、指向特性を悪化させる。
- 一次放射器は、回転放物面の反射鏡の焦点に置く。
解答
1
解説
アンテナ
無線通信を行うために、電気を電波に変換し、電波を送信したり受信したりする装置をアンテナと言います。
アンテナは空中線ともいい、代表的には下記の様な種類のアンテナがあります。
開口面アンテナ
開口面アンテナには、その名の通り、開口面より電波を放出するのが特徴で、反射鏡アンテナ(パラボラアンテナ、カセグレンアンテナ)とホーンアンテナなどがあります。
パラボラアンテナでは、一次放射器から放出した電波を、回転放物面の形をした反射鏡にて集積し、放出されます。
一次放射器は、回転放物面の焦点の位置に設置します。
カセグレンアンテナでは、回転双曲面の形をした副反射鏡を設置することで、パラボラアンテナと比較して一次放射器に当たって発生するロス(ブロッキング)をなくすことができます。
パラボラアンテナの利得と指向性
パラボラアンテナは、下図のように非常に鋭い指向性を持ちます。
このように鋭いビームを持つアンテナを、鉛筆のような鋭さから、ペンシルビームアンテナと言います。
※一方、携帯電話基地局に用いられるようなセクタアンテナは、水平方向に広く、垂直方向に鋭いビームを持ちます。このように、1つの次元で鋭く、もう1つの次元で広い指向性を持つアンテナをファンビームアンテナと言います。
パラボラアンテナは、開口面から放射された電波が平面波(位相が揃った波)として伝搬されます。
アンテナ利得と半値幅の大きさ
パラボラアンテナに限らず、アンテナの利得Gはアンテナの実効面積Aeと波長λを用いて、下記で表されます。
$$\begin{eqnarray} G=\frac{4\pi}{\lambda^2}A_e \end{eqnarray}$$この式より、波長が小さくなるほど、利得Gが大きくなる(=ビームが鋭くなる)ことが分かります。
また、メインローブの電力が1/2になる2点間の角度をビーム幅や半値角、電力半値幅などと言います。
半値角θ[°]は、アンテナの開口径D、波長λを用いて、下記で表されます。
$$\begin{eqnarray} \theta=\frac{60\lambda}{D} [\rm deg] \end{eqnarray}$$これより、半値角はアンテナの開口径Dに反比例し、波長に比例することが分かります。