第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和2年10月 無線工学(A)問14

2020-12-11

問題

次の記述は、マイクロ波多重回線の中継方式について述べたものである。( )内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。

  • (1):( A )(ヘテロダイン中継)方式は、送られてきた電波を受信してその周波数を中間周波数に変換して増幅した後、再度周波数変換を行い、これを所定レベルまで電力増幅して送信する方式であり、復調及び変調は行わない。
  • (2):再生中継方式は、復調した信号から元の符号パルスを再生した後、再度変調して送信するため、波形ひずみ等が( B )。
AB
1無給電中継累積されない
2無給電中継累積される
3非再生中継累積される
4非再生中継累積されない

解答

4

解説

マイクロ波の中継方式

通信到達距離を伸ばしたり、通信エリアを拡大したりする目的で、送信元から宛先の途中に中継局を設け、減衰した信号を増幅する方式を中継方式と言います。

マイクロ波のうち、特に3GHzから30GHzの周波数をSHF(Super High Frequency)と言いますが、マイクロ波の中継方式として下記の4つがあります。

  1. 無給電中継方式
  2. 直接中継方式
  3. 非再生中継方式(ヘテロダイン中継方式)
  4. 再生中継方式

無給電中継方式

増幅装置を用いず、電波を中継する方式を無給電中継方式(Passive Repeater)と言います。

特に、山間部などで見通し内通信ができない場合に、反射板を用いて電波を反射させ伝搬させるという使い方が用いられます。

その名の通り、増幅装置が無いため電力供給の必要が無く、構成がシンプルであるため、メンテナンスが簡単というメリットがあります。

直接中継方式

直接中継方式は、受信した信号を復調せず、マイクロ波のまま増幅して転送する方式です。

構成が簡単な分、コストがかからず、また中継による遅延も小さくできます。

しかしながら、雑音や干渉もそのまま増幅してしまうため、信号が劣化するという欠点があります。

非再生中継方式(ヘテロダイン中継方式)

非再生中継方式は、受信した信号を一旦中間周波数に変換し、中間周波増幅器によって増幅し、その後マイクロ波に変換して送信する方式です。ヘテロダイン中継方式ともいいます。

直接中継方式と同じように、信号の復調・変調は行われませんが、中間周波増幅器を用いることで、高周波増幅器が不要となるため、雑音や波形ひずみが直接中継方式よりも少なくなります。

再生中継方式

再生中継方式は、受信した信号を一旦復調し、再度変調した後に送信する方式です。

一度復調を行うことで、雑音や干渉による誤りを訂正したうえで送信するため、非再生中継方式に比べて誤りが少なく正確なデータ伝送ができます。

しかしながら、回路構成が複雑になり、また信号処理を行う分、遅延が発生するという欠点があります。

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