第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和元年10月 無線工学(B)問23

2020-11-15

問題

次の記述は、図に示す方向性結合器を用いて導波管回路の定在波比(SWR)を測定する方法について述べたものである。( )内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。なお、同じ記号の( )内には、同じ字句が入るものとする。

  • (1):主導波管の①からマイクロ波電力を加え、②に被測定回路、③に電力計Ⅰ、④に電力計Ⅱを接続したとき、副導波管の出力③には反射波に( A )した電力が、副導波管の出力④には進行波に( A )した電力が得られる。
  • (2):電力計Ⅰ及び電力計Ⅱの指示値がそれぞれM1 [W]及びM2 [W]であるとき、反射係数Γは( B )で表される。また、SWRは、(1+Γ)/(1-Γ)により求められる。
AB
1反比例√(M1/M2)
2反比例√(M2/M1)
3比例√(M2/M1)
4比例√(M1-M2/M1)
5比例√(M1/M2)

解答

5

解説

方向性結合器

方向性結合器はカップラー(Directional coupler)とも呼ばれ、信号を測定するために、無線機とアンテナの間に挿入し、信号を取り出すためのものです。

無線機の送信出力を測定する場合の構成例を下記に示します。

方向性結合器を挟まず、無線機を直接、測定器につないでもよいのですが、測定器に接続している間、運用が停止してしまいます。

これを防ぐため、方向性結合器を使うことでサービスを止めずに、電波の測定も同時に行うことができます。

方向性結合器には、単方向性結合器と双方向性結合器があります。

単方向性結合器は3ポートで、入射波を分けます。

双方向性結合器は4ポートで、入射波を出力するポートと、反射波を出力するポートがあります。

導波管の方向性結合器

問題で与えられたような導波管の方向性結合器において、入力と出力の関係は下図のようになります。

反射係数

異なる特性インピーダンスの伝送路同士を接続すると、反射波といって、信号の一部が戻ってきてしまい、電力損失が発生します。

入射波と反射波の電圧の割合を反射係数といい、下記式で表されます。

$$\begin{eqnarray} \Gamma=\frac{V_r}{V_i} \end{eqnarray}$$

Viは入射波の電圧、Vrは反射波の電圧を表します。

また、反射の度合いを表す数字として、VSWR(電圧定在波比、Voltage Standing Wave Ratio)もあります。

※問題文の場合は、M1、M2が電力表記になっています。電圧表記にするには、平方根をとって、√M1や√M2と表記します。

電圧定在波比は、定在波(入射波と反射波を足したもの。)の電圧最大値と最小値の比で表され、反射係数を使って下記の様に変換できることが知られています。

$$\begin{eqnarray} VSWR=\frac{V_{\rm max}}{V_{\rm min}}=\frac{1+|\Gamma|}{1-|\Gamma|} \end{eqnarray}$$

VSWR=1の時が反射がない状態を表し、反射が多くなるほどVSWRが大きくなっていきます。

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