第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和元年10月 無線工学(B)問15

問題

次の記述は、パルスレーダーの最小探知距離について述べたものである。( )内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。

  • (1):最小探知距離は、主としてパルス幅に( A )する。
  • (2):したがって、受信機の帯域幅を( B )し、パルス幅を( C )するほど近距離の目標が探知できる。
ABC
1反比例広く狭く
2反比例狭く広く
3比例広く広く
4比例狭く広く
5比例広く狭く

解答

5

解説

レーダー(Radar)

レーダーはある対象となる物体までの距離や方向を測る装置で、電波をその物体に向けて発射し、その反射波によって距離や方向を測定します。

レーダーの最小探知距離

レーダーが物体を探せる最小の距離の事で、これより短い距離の物体は見つけることができません。

最小探知距離は主にパルス幅、垂直方向の指向性によって決まります。

ここでは、問題文中のパルス幅について考えてみます。

最小探知距離とパルス幅

結論としては、最小探知距離を短くするには、パルス幅も狭くする必要があります。

また、f=1/Tの関係より、パルス幅を狭くするほど周波数帯域幅も大きくなります。

では、なぜパルス幅が狭いほど、探知できる距離を短くできるのでしょうか?

答えとしては、レーダーでは送信アンテナと受信アンテナを共用しているため、電波を送信している時間が短いほど、すぐに受信へ切り替えることができるからです。

というのも、電波を送信している間はレーダーのアンテナは送信アンテナとして用いられているため、物体からの反射波を受信できないのです。

そのため、パルス幅が狭い、つまり電波の送信期間が短いと、最小探知距離を短くできます。

例:パルス幅が100[μs]の場合

距離x=速さ×時間の関係式を用いて計算します。

電波の速さは光速と同じ3.0×108 [m/s]、時間は100[μs]、距離は往復で2倍かかるため、

$$\begin{eqnarray} 2x&=&(3.0\times10^8)\times(100\times10^{-6})\\ x&=&1.5\times10^4\\ &=&15[\rm km] \end{eqnarray}$$

と求めることができます。

例:パルス幅が10[μs]の場合

同様に、電波の速さ3.0×108 [m/s]、時間は10[μs]を用いると、

$$\begin{eqnarray} 2x&=&(3.0\times10^8)\times(10\times10^{-6})\\ x&=&1.5\times10^3\\ &=&1.5[\rm km] \end{eqnarray}$$

と求めることができます。

このように、パルス幅が短いほど、最小探知距離を短くできるのです。

-第一級陸上特殊無線技士
-,

© 2024 はちさんの通信系資格ブログ