第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和元年10月 無線工学(A)問11

2020-10-21

問題

次の記述は、地球局を構成する装置について述べたものである。(  )内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。

  • (1):衛星通信における伝送距離は、地上マイクロ波方式に比べて極めて長くなるため、地球局装置には、アンテナ利得の増大、送信出力の増大、受信雑音温度の( A )などが必要であり、受信装置の低雑音増幅器にはHEMT(High Electron Mobility Transistor)などが用いられている。
  • (2):衛星通信用アンテナとして用いられているカセグレンアンテナの一般的な特徴は、パラボラアンテナと異なり、一次放射器が( B )側にあるので、( C )の長さが短くてすむため損失が少なく、かつ、側面、背面への漏れ電波が少ない。
ABC
1増大副反射鏡給電用導波管
2増大主反射鏡副反射鏡の支持柱
3低減主反射鏡給電用導波管
4低減副反射鏡副反射鏡の支持柱
5低減副反射鏡給電用導波管

解答

3

解説

熱雑音、雑音電力

どのような回路や伝送路でも、ノイズ(雑音)が発生します。これはブラウン運動といって、どんな抵抗でも、絶対温度が0でない限り、その内部で電子が不規則に振動しまうことに起因しています。

これを総称して熱雑音、または単に雑音といっています。

雑音電力Pn[W]は下記の関係式を持つことが知られています。

$$\begin{eqnarray} P_n=kTB \end{eqnarray}$$

ここで、kはボルツマン定数 1.38×10-23 [J/K])、Tは絶対温度 T=[℃]+273.15 [K]、Bは帯域幅[Hz]を表します。

※雑音電力は、本によっては、Pn=4kTBと表記される場合もあります。

絶対温度Tを雑音温度とも言います。この式より、雑音温度Tが小さいほど雑音電力Pnも低減できることが分かります。

アンテナ

無線通信を行うために、電気を電波に変換し、電波を送信したり受信したりする装置をアンテナと言います。

アンテナは空中線ともいい、代表的には下記の様な種類のアンテナがあります。

開口面アンテナ

開口面アンテナには、その名の通り、開口面より電波を放出するのが特徴で、反射鏡アンテナ(パラボラアンテナ、カセグレンアンテナ)とホーンアンテナなどがあります。

パラボラアンテナでは、一次放射器から放出した電波を、回転放物面の形をした反射鏡にて集積し、放出されます。

カセグレンアンテナでは、回転双曲面の形をした副反射鏡を設置することで、パラボラアンテナと比較して一次放射器に当たって発生するロス(ブロッキング)をなくすことができます。

また、カセグレンアンテナはパラボラアンテナと比較し、一次放射器が主反射鏡側にあり、その分の給電線や導波管の長さを短くできるためロスが少なくなります。

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