第一級陸上特殊無線技士

一陸特 令和元年10月 無線工学(A)問10

2020-10-20

問題

受信機の雑音指数が3[dB]、等価雑音帯域幅が10[MHz]及び周囲温度が17[℃]のとき、この受信機の雑音出力を入力に換算した等価雑音電力の値として、最も近いものを下の番号から選べ。

ただし、ボルツマン定数は 1.38×10-23[J/K]、log102=0.3とする。

  1. 5.3×10-14 [W]
  2. 8.0×10-14 [W]
  3. 1.6×10-13 [W]
  4. 3.2×10-13 [W]
  5. 6.4×10-13 [W]

解答

2

解説

熱雑音、雑音電力

どのような回路や伝送路でも、ノイズ(雑音)が発生します。これはブラウン運動といって、どんな抵抗でも、絶対温度が0でない限り、その内部で電子が不規則に振動しまうことに起因しています。

これを総称して熱雑音、または単に雑音といっています。

雑音電力Pn[W]は下記の関係式を持つことが知られています。

$$\begin{eqnarray} P_n=kTB \end{eqnarray}$$

ここで、kはボルツマン定数 1.38×10-23 [J/K]、Tは絶対温度 T=[℃]+273.15 [K]、Bは帯域幅[Hz]を表します。

※雑音電力は、本によっては、Pn=4kTBと表記される場合もあります。

また、増幅器の入力信号と出力信号を比較したとき、どのくらいSNが劣化するかを示した値を雑音指数(Noise Factor、NF;エヌエフ)と言います。

NFは下記式で求められます。

$$\begin{eqnarray} NF&=&10\log_{10}\frac{S_i/N_i}{S_o/N_o} \\ &=&10\log_{10}\frac{N_o}{GkTB} \end{eqnarray}$$

ここでGは増幅器での増幅率を表します。

したがって、雑音出力Nは、Gを1として、

$$\begin{eqnarray} NF&=&10\log_{10}\frac{N_o}{GkTB}\\ 3&=&10\log_{10}\frac{N_o}{1\times1.38\times10^{-23}\times(17+273)\times10\times10^6}\\ 3&=&10\log_{10}\frac{N_o}{400\times10^{-16}}\\ 3&=&10\log_{10}\frac{N_o}{2^2\times10^{-14}}\\ 0.3&=&\log_{10}\frac{N_o}{2^2\times10^{-14}}\\ \log_{10}2&=&\log_{10}\frac{N_o}{2^2\times10^{-14}}\\ 2&=&\frac{N_o}{2^2\times10^{-14}} \\ N_o&=&2\times2^2\times10^{-14} \\ &=&8.0\times10^{-14} \end{eqnarray}$$

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