問題
図に示す並列共振回路において、交流電源から流れる電流I及びXCに流れる電流IXCの大きさの値の組合せとして、正しいものを下の番号から選べ。ただし、回路は、共振状態にあるものとする。
I | IXC | |
---|---|---|
1 | 4[A] | 5[A] |
2 | 3[A] | 10[A] |
3 | 3[A] | 5[A] |
4 | 2[A] | 10[A] |
5 | 2[A] | 5[A] |
解答
4
解説
RLC並列共振回路の計算
共振状態のとき、コイルLとコンデンサCをないものとして考えられるため、電流Iは
$$\begin{eqnarray} I=\frac{V}{R}=\frac{100}{50}=2 [\rm A] \end{eqnarray}$$と求められます。
また、コイルに流れる電流IXLは、
$$\begin{eqnarray} I_{XL}=\frac{V}{X_L}=\frac{100}{10}=10 [\rm A] \end{eqnarray}$$と求められます。また、コンデンサに流れる電流IXCと、コイルに流れる電流IXLは等しいので、
$$\begin{eqnarray} I_{XC}=I_{XL}=10 [\rm A] \end{eqnarray}$$と求められます。
RLC並列共振回路の解説
下記のRLC並列回路について、合成インピーダンスZを求めます。
$$\begin{eqnarray} \dot{Z}&=&\frac{1}{\frac{1}{R}+\frac{1}{j\omega L}+j\omega C} &=&\frac{1}{\frac{1}{R}+j\left( \omega C-\frac{1}{\omega L} \right)} \end{eqnarray}$$従って、回路に流れる電流Iは、
$$\begin{eqnarray} \dot{I}=\frac{\dot{V}}{\dot{Z}}=\left\{\frac{1}{R}+j\left( \omega C-\frac{1}{\omega L} \right)\right\}\dot{V} \end{eqnarray}$$となり、実効値で表すと、複素数の絶対値の公式から、
$$\begin{eqnarray} I&=&|\dot{I}|=\left|\frac{1}{R}+j\left( \omega C-\frac{1}{\omega L} \right)\right|\left|\dot{V}\right| \\ &=&V\sqrt{\frac{1}{R^2}+\left(\omega C-\frac{1}{\omega L}\right)^2} \\ \end{eqnarray}$$と書くことができます。
ここで、ωC-1/ωL=0のときを考えてみましょう。すると、
$$\begin{eqnarray} I&=&V\sqrt{\frac{1}{R^2}+\left(\omega C-\frac{1}{\omega L}\right)^2} \\ &=&V\sqrt{\frac{1}{R^2}} \\ &=&\frac{V}{R} \\ \end{eqnarray}$$となります。これは、ωC-1/ωL=0のときには、RLC並列回路はコイルLとコンデンサCをないものとして、単なる抵抗Rだけの回路と同じと言えます。
このωC-1/ωL=0のときを共振状態といいます。
共振状態の時、コンデンサCとコイルLに電流が流れていないわけではなく、大きさが等しく、互いに打ち消しあっているのです。